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H20筆記試験の分析 雰設一般)

sukiyaki塾のHPに今年の技術士試験問題が少しずつアップされてきています。APECさん、本当にいつも(毎年)ありがとうございます。
ということで、今年の技術士試験問題の分析もやっていこうかなと思っています。
で、まずは、みなさんの関心が高い建設一般論文からいきましょうか。
出題は、次の通りでした。

●平成20年度 建設一般論文の出題
供ー,2問題のうち1問題を選んで解答せよ。(答案用紙3枚以内)
-1 社会資本の維持管理に関する現状と課題を述べ、これに対する対策としてアセットマネジメントの必要性及びその実用化に向けた方策についてあなたの意見を述べよ。
-2 我が国の公共事業は、近年、縮小傾向にあるが、このような状況が、建設分野における技術力の維持及び向上に与える影響とその課題を挙げ、今後とるべき方策についてあなたの意見を述べよ。

ネット上の掲示板等への書き込みを見ていると、-1を選択した方がほとんどです。そして、多くの方が「題意がわからなかった」とか、「具体策が浮かばなかった」と書いているのが、「実用化に向けた方策」のようです。
私はこの問題を見たとき、正直いってとても素直な問題だと思いました。そして、2問とも今の建設部門が抱える重大な問題をテーマにしていて、良いテーマだと思いました。皆さん、難しく考えすぎたんじゃないでしょうか。
ただ、昨年よりも問題文が短くなって、条件設定がほとんどなくなったことは意外でした。問題だけ見れば、平成18年度以前の旧制度の建設一般と何ら変わりませんね。つまり、問題の出しかたは従来どおりだけど、評価の尺度は従来の「一般的専門知識」ではなく、新制度では「論理的考察能力と課題解決能力」ということなので、答案作成においてはこれを頭において記述していかなければならないということなんでしょうね。
でもまあ、あまりそういうことは考えず、私の頭に浮かんだことをそのまま書いてみます。

●私の頭に浮かんだ答案のイメージ
まず、この問題が出題された背景には、ミネソタ州の橋崩落事故と、国土交通省直轄国道でのトラス橋斜材破断事故と、自治体での橋梁未点検の実態判明の3つが大きな要因になっていることは間違いないでしょう。土木構造物の維持管理の問題がとてもわかりやすいかたちで顕在化したので、答案もとても書きやすいと思います。

ミネソタの事故から見えることは、重交通により非常にたくさんの橋梁が痛んできていて対応が追い付かなくなってきていること、損傷によっては一気に橋を崩落させる可能性(危険性)を持っていること、そしてその影響は計り知れないこと、といったところでしょう。実は、これらはいずれも日本にも当てはまることなんですが、やはり外国で起きたことなので他人事に聞こえるかもしれません。しかし、ここからは他人事ではありません。
国の直轄国道で橋梁点検も実施されていたトラス橋の斜材が破断したことからは、現状の橋梁定期点検では見つからない損傷があること、ミネソタで起きたことが日本でも起こりうること、といった問題が見えるでしょう。さらに、トラス橋の斜材が床版を貫通する箇所で生じる腐食損傷は、損傷事例集などにも紹介されているとてもよく知られた代表的損傷であったことも重大な事実として指摘しておくべきでしょう。
そして、7つの県と市町村の9割で橋梁点検が実施されていないことが判明しました。斜材破断が見つかった国の直轄国道よりも自治体のほうがさらに深刻だということです。また、市町村の1/4は土木技術者の職員が一人もいないことや、市町村の橋梁維持修繕費は1橋あたり年間約8万円で、政令指定都市や都道府県の1/10程度の予算しかないということも明らかになりました。

まとめますと、維持管理の現状としては、
・自治体を中心として、未点検の土木構造物が大量に存在していること
・定期点検を実施している国の直轄国道であっても、落橋等の重大事故を発生しうる重大損傷を内在していること
などがあるでしょう。
そして、課題としては、
・自治体では、土木技術者の数と予算が不足していること
・橋梁等の土木構造物に関する専門知識やノウハウも不足しているため、予算があっても適切な維持管理が困難であること
・直轄国道などで実施されている定期点検では、既知の損傷であっても見落とされている場合があること
などがあるでしょう。

次に、これに対する対策としてアセットマネジメント(AM)を考えようということですが、これも難しく考えることはないと思います。
まず、この設問でいっているAMというのは、土木施設全体の状態を把握して、適切な方法、コスト、タイミングで維持管理を行っていく、というくらいの解釈でいいと思います。AMには新規投資(新設構造物)も含みますが、ここではあまり触れなくてよいでしょう。
だから、必要性の説明も
「現状では、多くの土木施設の状態が把握できておらず、落橋等の重大な事故の危険をはらんだ状態にある。また、維持管理を行っていくのに十分な予算もない。よって、これらの現状を踏まえた適切な方法で土木施設の現状を把握し、適切に手当てをしていくAMの考えかたを導入し、この危機的状況を脱しなければならない」
という感じでいいんじゃないでしょうか。

最後に、実用化に向けた方策ですが、
・現状の予算配分では、自治体が土木施設の状態を把握すること(点検)すら実施困難であるので、新規投資の予算の一部を維持管理の予算に充てる。
・市町村では技術職員が不足しているので、国や県から人的支援を行う。そのために、例えば「維持管理センター」を設立する。維持管理技術に関する教育訓練を行い、質の高い技術職員を育成する。
・直轄国道などで実施されている現状の「定期点検」は、全数あるいは全量を点検することに重点が置かれているため、コストが高い、個々の点検が手薄になりやすいといった問題がある。よって、重要部位の点検と重大損傷の発見に絞った、低コストな「基礎点検」に切り替える。
・これらの対応で土木施設の状態に関する情報を集め、限られた予算と人員のなかで実施していくべき対応(適切な順序、方法、コスト、タイミングによる維持管理)を検討し、実施していく。
という感じでいいんじゃないでしょうか。
このあたりを本線に書いていって、紙面の具合からまだ書けるようなら、専門的なメンテナンス技術を有する技術者(コンクリー診断士等)の有効活用、モニタリング技術の活用などを加えてもいいと思います。

思いつくままに書いてみました。

そうそう、今年2月にコンクリート診断士の更新のためのレポートで、こんなことを書いていました。
イマジン * 技術士 * 07:48 * comments(4) * trackbacks(0) * - -

コメント

お疲れ様です。ただいま熊本で現地調査中です。

早々の分析、さすがですね。ドイツにいても、「祭り」に対する情熱は相変わらずのようですね。私は今年参戦しなかったので、少々寂しい気持ちでした。やっぱり参加せんといかんのかな〜?

Comment by ふるのぶ @ 2008/08/05 2:10 PM
こんばんは。コメントありがとうございました。
今年の技術士試験最大のサプライズはやはり地球温暖化が出題されなかったことに尽きるんでしょうね。試験終了後にブーブー言っている人がたくさんいました。
今年の維持管理の問題は、橋梁に従事する技術者が有利だったかもしれません。ある意味ラッキーでした。

話は脱線しますが、「ふるのぶさん 参加されるんですか〜(笑)」
…ブログ越しに失礼いたしました。

Comment by バル @ 2008/08/06 1:22 AM
ふるのぶさん、ご無沙汰しております。
熊本ですか。帰国後も大変ですね。
技術士試験は確かに「お祭り」に似ていますね。時々花火が上がったりして。
確か今年は土木学会の上級技術者試験に挑戦ですよね。がんばってください。この前ふと気がついたんですが、AコースとBコースでは科目の定義が違うんですよね。意図がわからなかったので土木学会に質問メールをしたのですが、まだ返事はありません。何かわかったら、またお知らせします。

バルさんも書いてますが、来年のお祭り参戦、楽しみにしています。
Comment by イマジン @ 2008/08/06 1:40 AM
バルさん、試験お疲れさまでした。3連勝の手ごたえ十分なようですね。
私は3連勝のあと4年目は転職のため受験できず、5年目は筆記試験で落ちました。6年目は何とかリベンジできましたが、できれば4連勝したかったですね。この夢はバルさんに託すことにします。
地球温暖化が出題されなかったことで皆さんだいぶ盛り上がっていますよね。私はそれほど驚きませんでしたが。
バルさんのいわれる通り、橋梁に従事する技術者は有利だったかもしれませんが、客観的に見ても、建設分野にとって重要な問題はやっぱり維持管理じゃないかと思います。
新制度になって、建設一般の丸暗記は通用しなくなると思っていたのですが、今年のような出題ならかなり有効ですね。他部門の一般論文では、出題がだいぶ変わったところもあるようですが、建設部門は逆にH18までの出題に戻りました。さて、来年はどうなりますかね。
Comment by イマジン @ 2008/08/06 1:54 AM
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