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素人にもできる地震応答予測

時間ができたらちょっと検証してみようと思いながら、今までず〜っと放ったらかしにしてたことがあります。それは、中越沖地震での柏崎刈羽原発の観測地震動と設計地震動についての検証です。
設計時の想定が甘いという報道があったので、原発の設計を全く知らない私がこの原発の耐震設計強度を決めるとしたら、どのくらいにするかということを試算してみようと思いました。

まず、情報の整理から始めます。
二転三転しましたが、柏崎刈羽原発で観測した最大応答加速度は、3号機タービン建屋1階で、設計時の想定の2.5倍に当たる2058gal(2.1G)ということでしたね。まあこの情報はしばらくおいておくことにします。
知りたいのは、どんな建物か。特に周期特性ですね。それから、どんな地盤なのかです。
先ほどgoogle検索でざっと見たところ、原子炉建屋の側面図を発見しました。なかなか幸先がいいです。これでだいぶイメージしやすくなりました。

この原子炉建屋は地下5階地上3階の8階建ての建物だったんですね。地表面からおよそ45mの深さに建物の底面があります。この深さなら、道路橋の耐震設計でいう啓鐫枠廚任垢茲諭ΑΑΔ任癲直接基礎だから擬鐫枠廖
道路橋の耐震設計に当てはめて考えること事態がよくないのかも。ここは、独断と偏見で、脅鐫枠廚啓鐫枠廚辰討箸海世蹐Δ箸いΔ海箸砲靴董⊆,某覆澆泙后
固有周期です。側面図を見たときの直感では0.7s〜1.0sくらいの周期かなって思いました。しかし、これを掲載していたページには、0.5s〜0.7sくらいとありました。他にいくつかググってみたところ、0.1s〜0.3sなんて書いているものもあります。そんなあほな。こんなでかいもんが0.1sで揺れるかっつーの。これまた、独断と偏見で、0.3s〜0.5sと決め打ちして、情報収集は完了。

次は、柏崎刈羽原発周辺で起きた既往地震について調べます。前に東南海・南海地震について調べたのと同じように、理科年表で調べます。
・・・結構地震が起きているんですねえ。越後・佐渡を震源とするM7級地震は、1502年(文亀)にM6.5〜7、1751年(宝暦)にM7〜7.4、1802年(享和)にM6.5〜7、1847年(弘化)に善光寺地震M7.4、1964年(昭和)に新潟地震M7.5があります。2004年の中越地震はM6.8ですので、上記の地震よりも規模が小さいですね。500年の間に5回もM7級の地震が発生しているのに、M6.8の地震が想定を超えているなんて・・・まあ、余計なことは考えずに、既往地震の震源(緯度、経度)、規模(マグニチュード)、地震の概況などの情報を収集して、たんたんと整理していきます。

次に調べるのは、震央距離(震源からの水平距離)です。
既往地震の震源から柏崎刈羽原発までの距離を調べます。そのために、まず「緯度 経度」と入れてgoogle検索。すると、地図から緯度と経度を出してくれるページが見つかりました。柏崎刈羽原発は、北緯37°26′、東経138°36′くらいに位置しています。ふたたびgoogleで「緯度 経度 距離」と入れて検索してみます。すると、緯度と経度から2点間の距離を計算する方法を掲載したページが見つかりました。また、これを計算してくれるページもあります。便利な世の中です。

これで、私の知りたい情報はでそろいました。ここからは試算です。道路橋示方書V耐震設計編のうしろのほうに、対象構造物の固有周期と地盤種別と震央距離と地震規模から、応答加速度を推定する式が載っています。距離減衰式と呼ばれる式です。この式にさきほど調べた情報を入れていきます。すると、既往地震と同じ地震が発生した場合の、柏崎刈羽原発での推定応答加速度が算定されます。ただし、ここで求まる加速度は中央値です。ばらつきとして標準偏差の1倍を見込むには、この式で得られる応答加速度を1.8倍しなければならないと書いてあります。それから、減衰定数は5%での推定値となっています。しかし、原子炉建屋の減衰定数までは分からないので、5%くらいだろうということにしておきます。実はこの距離減衰式も、googleで検索するとすぐに見つかります。計算式を組み込んだExcelファイルまでダウンロードできるページもあります。ん〜便利だ。

で、やってみた結果です。

有名な善光寺地震(1847年)や新潟地震(1964年)は、やっぱりパワーがありますが、柏崎刈羽原発までの距離は結構あるんですね。100kmくらいあると、さすがに距離減衰が効いてきます。既往地震のなかで柏崎刈羽原発に最も大きい応答加速度を与えるのは、宝暦の地震のようですね。震央距離が50kmもあるのに推定応答加速度400〜500galもでています。これは旧震度階級でいう震度察雰秧漫ですよ。すごいです。しかも、これはあくまで中央値ですので、設計地震動を考えるなら、やはり標準偏差の1倍くらいは考えるべきでしょう。すると最大で970gal(≒538*1.8)ですね。

私の素人発想でも、少なくとも1G(980gal)の水平震度に耐えられる耐震設計が必要だと考えますね。でないと、既往地震にも耐えられません。1Gは採用値ではなく、最低ラインです。ではどうするかというと、やはり原子力発電所という一歩間違えれば・・・なんてことが絶対に許されない構造物を設計するんですから、既往地震だけみてOKなんてことはしないでしょうね。文政の地震は、震央距離が30kmのところでM6.9あります。新潟地震は少し遠いですがM7.5もあり、この地域の既往地震の中で最大規模です。
こうしたことを踏まえて、震央距離30km、地震規模M7.5を目標に設定するでしょう。この場合の応答加速度は、概ね600〜800galで、脅鐫枠廚T=0.3sでは830galにもなります。これにばらつきを加えれば1490galになります。よって、私の採用する耐震設計強度は水平震度1.5G(1470gal)ですね。
すごい数字だと思うかもしれませんが、既往地震といっても1500年以前はほとんど記録が残っていませんし、その後の記録も最近のものに比べれば、規模の評価も精度が落ちます。こうしたことを踏まえれば、決して過大とは思わないでしょう。
現実には、最大応答加速度2058galが記録されています。先日の中越沖地震の震央距離16km、地震規模M6.8を入れてみると、応答加速度は450〜650galでばらつきを考慮しても2058galにはなりません。なぜ、推定値からこれほど大きく外れているのか分かりませんが、推定式というのはあまりあてにならないものだということと、現実は怖いものだということにしておきましょうか。

ここで紹介した応答加速度の推定方法は、少々手間はかかりますが、耐震設計などの知識が無くても、上記の作業をトレースすれば、どなたでもできます。ツールは全てネット上にあります。例えば、東海・東南海・南海地震などの震源と規模は大体分かっていますので、あとは皆さんの自宅なり勤め先なりを対象構造物として当てはめれば、それらの推定応答加速度を求めることもできます。
時間がありましたら、試してみてはいかがでしょうか。

イマジン * 災害 * 23:08 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

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